抄録
わが国における多発性内分泌腺腫瘍症(MEN)の診療指針(ガイドライン)の作成は,2008 年に設立されたMEN コンソーシアムの第一の目標であった.2009 年からは,櫻井博士が研究代表者である厚生労働省科学研究補助金(難治性疾患克服事業)「多発性内分泌腫瘍症1 型および2 型における診療実態の把握と診療指針の作成」研究班が発足した.またMEN コンソーシアムは日本甲状腺外科学会,日本内分泌外科学会,日本家族性腫瘍学会からも後援を得ている.さらに,日本内分泌学会の臨床重要課題にも採用され,班研究も3 年目になり,早急に診療指針を作成していくことが要求された.指針の主な項目作成と,担当責任者および担当者を決定し,それぞれの担当項目につきClinical Question(CQ)の作成,吟味を開始した.CQ 案の決定およびコラムの選定等の作業を行った.決定したCQ,コラムはMEN1 で56,10,MEN2 でそれぞれ44,17 である.その後CQ 案毎に文献を検索し,構造化抄録を作成し,今後はエビデンスに基づいた推奨グレードを決定していく予定である.本診療指針(いわゆるガイドライン)の完成は,本邦におけるMEN 診療および研究に携わるものに,大きな恩恵をもたらすものと考えられる.