日本臨床外科学会雑誌
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症例
男性非浸潤性嚢胞内乳癌の1例
遠藤 香代子矢内 洋次宮坂 知佳權 雅憲
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2015 年 76 巻 12 号 p. 2914-2919

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抄録

男性乳癌は,比較的稀な疾患で全乳癌症例に占める割合は0.5~1.0%とされ,中でも非浸潤性嚢胞内癌はごく稀である.症例は76歳の男性,左乳房腫瘤を主訴に来院.視触診で左乳輪から頭側にわたる領域に2cmの境界明瞭な腫瘤と軽度陥没乳頭を認め,腋窩リンパ節の腫脹は認めなかった.マンモグラフィーで境界明瞭腫瘤陰影を認め(カテゴリー3),乳房超音波検査では嚢胞内に立ち上がりのなだらかな腫瘤を認めカテゴリー4(嚢胞内癌の疑い)と診断した.前医での細胞診ではclass III,針生検で非浸潤性乳管癌もしくは浸潤癌の疑いと診断された.乳房部分切除を施行し,最終病理診断は非浸潤性嚢胞内癌であった.残存乳腺に放射線照射(50Gy)を行い,経過は良好である.

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© 2015 日本臨床外科学会
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