抄録
症例は83歳,女性.3日前からの腹痛を主訴に当院を受診した.上腹部に圧痛を認め,腹部CTでは左上腹部に60×45mm大の小腸と交通する嚢状腫瘤と,腫瘤周囲および肝表面にfree airが認められた.小腸憩室穿孔による腹膜炎と診断し緊急手術を行った.手術所見では腫瘤はBauhin弁より250cm口側の空腸と連続しており,腸間膜の血管から栄養されていた.穿孔部は同定できなかったが,腫瘤に白苔が付着していたことから嚢状腫瘤の穿孔と判断し,腫瘤を含む小腸部分切除を行った.病理組織検査では腫瘤は粘膜,筋層の2層構造を有して小腸と連続しており,真性憩室であった.粘膜下層に膿瘍が形成され,漿膜側への穿孔を認めた.腫瘤が真性憩室であること,それが腸間膜より栄養されていたことから空腸重複腸管症と診断した.
成人の空腸重複腸管症は非常に稀であり,その穿孔例を経験したので報告する.