日本臨床外科学会雑誌
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症例
下腿浮腫・下痢を契機に発見された結腸十二指腸瘻を伴う大腸粘液癌の1例
入江 彰一南村 圭亮坪井 浩一園田 洋史平田 泰小林 隆森 正也
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2015 年 76 巻 2 号 p. 318-322

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抄録
症例は70歳,男性.下腿浮腫,下痢を主訴に当院受診した.貧血・低アルブミン血症を認め,精査の結果,上行結腸肝彎曲部に全周性2型腫瘍と十二指腸下行部への瘻孔形成を認めた.CT・MRIで,膵浸潤も認めた.結腸十二指腸瘻を伴う上行結腸癌と診断し,結腸右半切除術・膵頭十二指腸切除術(以下PD)を施行した.病理診断はpT4b(膵,十二指腸),muc>tub1,pN0,pStage IIであった.術後補助化学療法としてFOLFOX4を6カ月間行った.術後16カ月間再発なく経過している.大腸癌は他臓器浸潤を認めても完全切除が望ましい.結腸十二指腸浸潤症例では,侵襲が大きくなるが,膵頭十二指腸切除を行うことで予後の改善が期待できると考えられた.
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© 2015 日本臨床外科学会
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