日本臨床外科学会雑誌
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症例
磁石誤飲と磁石肛門内挿入による小腸直腸瘻の1例
伊藤 栄作大平 寛典吉田 昌柳澤 暁山内 栄五郎鈴木 裕
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2015 年 76 巻 2 号 p. 332-337

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抄録

症例は幼少期から精神発達遅延が指摘されている16歳,女性.磁石誤飲と肛門内への磁石挿入後の下腹部痛を主訴に来院.直腸内に磁石を認めたが経肛門的に摘出困難であり,CTで磁石による小腸直腸瘻と診断した.自然排泄されることを期待し,保存加療を選択した.しかし,自然排泄されないため第20病日に腹腔鏡下に磁石摘出術を施行.2つの磁石が吸着し一塊となって小腸側粘膜下に存在し,直腸壁は治癒していたため小腸部分切除のみで磁石を摘出しえた.磁石誤飲はCT検査でhalationを起こすため位置の正確な評価は難しく,自然排泄されないことがあるため経過観察は慎重に選択しなければならない.今回は手術時期を遅らせたことにより小腸側に磁石が残っている状態で直腸壁は治癒,閉鎖していたため直腸損傷なく磁石を摘出することができた.

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© 2015 日本臨床外科学会
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