日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前補助療法後に腹腔鏡下ISRを施行した直腸GISTの1例
下村 治榎本 剛史伊藤 雅昭田村 孝史大河内 信弘
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2015 年 76 巻 2 号 p. 338-343

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抄録

症例は63歳,男性.排便困難を主訴に近医を受診し,下部直腸に巨大腫瘤を指摘され当院に紹介となった.最大径60mm大の直腸GISTの診断で切除を検討したが,肛門温存の希望が強く,術前療法としてメシル酸イマチニブ(以下IM)400mg/日の投与を開始した.治療開始6カ月で45mmまで縮小(縮小率33%)し,腹腔鏡下内肛門括約筋切除術(Laparoscopic intersphincteric resection:Lap-ISR)を施行した.Lap-ISRは下部直腸癌等で,肛門温存を可能にし,短期予後にも影響しない1)として,徐々に広がっている.完全切除が重要となるGISTの手術において,本術式は明確な視野のもとで施行可能であり,有用と考えられた.GISTに対する術前治療に関しては現時点で明確な基準がない.直腸GISTに対する術前治療の報告をまとめ,至適な投与期間と術式について検討した.

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© 2015 日本臨床外科学会
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