日本臨床外科学会雑誌
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症例
I型胃カルチノイド腫瘍が併存した肝転移を伴う直腸内分泌細胞癌の1例
工藤 雅史志田 晴彦東 久登根岸 真人山形 誠一増田 幸蔵井上 雅文
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2015 年 76 巻 2 号 p. 344-349

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抄録

症例は50歳,女性.2013年4月,血便および健診超音波検査での肝腫瘍精査目的で受診した.下部消化管内視鏡検査で直腸Raに隆起性病変を認め,生検で低分化腺癌および内分泌細胞癌の併存と診断された.上部消化管内視鏡検査ではA型胃炎に伴う多発胃カルチノイド腫瘍が観察された.腫瘍マーカーはNSEが45.8ng/mlと高値を示した.CT検査では肝S4に5cm大の腫瘤を認め,直腸傍リンパ節も腫大していた.以上より,直腸腺癌もしくは直腸内分泌細胞癌・肝転移の診断で,低位前方切除術+肝S4部分切除術を施行した.病理組織学的検査では,直腸病変の表層には高分化から中分化腺癌を認め,その深層に内分泌細胞癌が混在していた.肝転移巣およびリンパ節転移巣は内分泌細胞癌の転移であった.現在,術後1年経過するが無再発生存中である.

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© 2015 日本臨床外科学会
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