日本臨床外科学会雑誌
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症例
右肝切除術を行った体質性ICG排泄異常症を伴った肝細胞癌の1例
岩谷 慶照黒田 大介福岡 英志村田 晃一大坪 大沢 秀博
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2015 年 76 巻 2 号 p. 369-373

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抄録

今回われわれは,indocyanine green 15分血中停滞率(ICG R15)が74.9%と異常高値を示したがChild-Pugh分類ではAであったため,ICG排泄異常症と診断した肝細胞癌(HCC)症例を経験した.症例は66歳,男性.右肩痛を主訴に近隣医院を受診しCT検査で肝右葉に巨大腫瘤が認められ当院に紹介となった.腹部CT・MRI検査で肝S5-7-8に最大径11.5cmの巨大な腫瘤像を,またS6に1.3cmの腫瘤像を認めた.肝動脈化学塞栓療法後,横隔膜の合併切除を伴う右肝切除術を施行し,術後19日目に退院となった.ICG R15のみ異常高値を示す体質性ICG排泄異常症を背景とするHCC症例では治療方針に苦慮するが,広範囲切除であっても安易に手術選択肢を排除せず,総合的に肝機能の評価を行い手術加療の可能性を検討する必要があるものと考える.

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