抄録
症例は83歳,女性.歩行中に左側方より走行してきた250ccバイクと衝突した.搬入時,努力呼吸でフレイルチェストを伴う左第3~11肋骨骨折,肺挫傷,血気胸などを認めた.人工呼吸管理による内固定を行うも,通常の圧設定では胸郭の動揺が遷延し,強い疼痛を伴った.人工呼吸器からの早期離脱と早期の疼痛改善を目的として,合併する腹部臓器損傷の安定を得た後の受傷5日目に肋骨観血的整復固定術を施行した.固定部位は最も動揺や疼痛の強く,換気に影響している骨折部を選定し,最小限とした.術後,胸郭の動揺や疼痛は軽快し,受傷9日目に人工呼吸器を離脱した.多発肋骨骨折に対する外固定の適応や時期,固定部位については多く議論されている.本症例は高齢であったが,有効で低侵襲な骨折固定部位の選定や早期に外固定により人工呼吸器離脱を図ることで,良好な経過を得たので報告する.