抄録
症例は50歳の男性で,健診にて肝機能異常を指摘され,精査目的に施行された腹部超音波検査で後腹膜腫瘍が認められた.自覚症状は認められず,腹部造影CT検査にて十二指腸水平脚背側,腹部大動脈,下大静脈間に58mm大の造影効果を伴った腫瘍を認めた.また,血管造影で腹部大動脈から腫瘍への流入血管を認めた.褐色細胞腫を疑い施行されたMIBGシンチグラフィーで,腫瘍に一致して強い集積を認め,血中ノルアドレナリンも高値(778pg/ml)であったことから,異所性褐色細胞腫の診断にて腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は被膜を有していたが,下大静脈,腹部大動脈と密に癒着しており,下大静脈壁を一部合併切除した.腫瘍摘出時に血圧の変動は認められなかった.腫瘍は充実性であり,病理組織学的に褐色細胞腫と診断された.
術後1年6カ月経過しているが,再発の兆候は認められていない.