日本臨床外科学会雑誌
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症例
小腸癌を併存した上行結腸癌の1例
竹田 充伸徳岡 優佳井出 義人竹田 雅司佐々木 洋
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2015 年 76 巻 3 号 p. 561-566

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抄録

症例は72歳,女性.めまいを主訴に近医を受診し,Hb 4.7g/dlと著明な貧血を認め精査加療目的で当院紹介受診となった.精査にて上行結腸癌と診断し結腸右半切除術を予定したが,術中検索で回盲弁より約6cm口側の回腸に腫瘤性病変を認めたため,この腫瘤性病変を含んで合併切除を行った.切除標本にて回腸に2型病変が確認できた.病理組織学検査にて上行結腸癌(por1>muc)+小腸癌(回腸)(muc>tub2)と診断した.回腸病変については,粘膜病変が主で漿膜面に露出がなく,肉眼型で2型の形態を示していることから原発性小腸癌と考えられた.術後21カ月経過し生存中である.小腸大腸同時性重複癌の本邦報告例は25例と比較的稀である.今回,われわれは上行結腸癌に小腸癌を合併した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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