抄録
症例は65歳の女性で,臍部の疼痛と排膿を主訴に当科を受診した.腹部CTでは臍から膀胱へ連続する腫瘤を認め,尿膜管膿瘍を疑う所見であり,一部は胃壁との境界が不明瞭であった.膀胱鏡では膀胱後壁に浮腫性変化を認め,尿膜管膿瘍に矛盾しない所見であった.以上より,尿膜管膿瘍の診断で手術を施行した.尿膜管膿瘍は大網・胃前壁に癒着しており,尿膜管切除,大網・胃・膀胱合併部分切除した.組織所見では,胃粘膜から膿瘍に連続する炎症細胞の浸潤の所見を認めた.経過は良好で術後13日目に退院した.本症例は手術の3年前に胃潰瘍穿孔を保存的に加療した既往があり,その際の画像所見では尿膜管膿瘍の所見を認めていなかった.その後,胃潰瘍は難治性であり,1年前に施行した腹部CTでは,胃壁に接して尿膜管膿瘍を疑う所見を認めていた.今回,尿膜管遺残に胃潰瘍が穿通し膿瘍を形成したと推察された1例を経験したので報告する.