日本臨床外科学会雑誌
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症例
鼠径ヘルニア根治術後メッシュが膀胱内迷入をきたした1例
園田 洋史南村 圭亮遠藤 裕平入江 彰一平田 泰小林 隆
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2015 年 76 巻 4 号 p. 922-925

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抄録

症例は48歳,女性.2008年11月(46歳時),右内鼠径ヘルニアに対し,腹膜前腔アプローチによるKugel patch repairを施行された.2009年より頻尿が出現し,膀胱炎の診断で抗菌薬の内服加療をしていたが症状の改善を認めなかった.2010年5月,精査目的に施行された膀胱鏡検査では膀胱頂部に腫瘍性病変を指摘され,骨盤CTでは石灰化を伴う膀胱腫瘤を認めた.経尿道的膀胱腫瘍生検を施行したところ膀胱内異物(メッシュ)と診断され,2010年6月にメッシュ除去術を施行した.メッシュはHesselbach三角を十分に覆う形で局在し,3×2cmにわたり膀胱内へ露出していた.術後経過は良好で術後12日目に退院となった.今回われわれは,繰り返す膀胱炎を契機に発見された,鼠径ヘルニア根治術後にメッシュの膀胱内迷入をきたした1例を経験したので報告する.

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