2015 年 76 巻 6 号 p. 1356-1361
AFP産生胃癌はまれな胃癌であり予後不良である.AFP産生胃癌術後リンパ節再発に対し,手術を含めた集学的治療が有効であった1例を経験したため報告する.症例は68歳,男性.胃癌に対し幽門側胃切除を施行し,術後免疫組織学検査にてAFP産生胃癌と診断した.最終診断はT1N2H0P0M0 Stage IIであった.UFT/LVによる術後補助化学療法施行中にリンパ節再発(No.13,No.16b1)をきたし,化学療法を変更した.S-1,S-1/CDDPを施行したがPDとなり,PTXによる4th line化学療法を施行したところ著効し,血清AFP値も正常化した.AFP値が微増しだした段階で,CTとPETにてその他の転移がないことを確認したうえで,再発リンパ節の摘出を行った.術後マーカーが正常化し,その後,6年4カ月(初回治療から8年8カ月)長期無再発が得られている.