日本臨床外科学会雑誌
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症例
虫垂粘液嚢胞腺腫に併存した杯細胞カルチノイドの1例
浅井 泰行山村 和生栗本 景介松下 英信福山 隆一石榑 清
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2015 年 76 巻 6 号 p. 1402-1407

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抄録

69歳,男性.健診で虫垂腫瘍を指摘され当院紹介受診した.右下腹部に軽度圧痛を認めた.血液生化学所見に異常はなく,血清CEAが8.2ng/mlと軽度上昇を認めた.腹部造影CT検査では虫垂は70×30mm大に腫大し,内部に液体貯留を認めた.大腸内視鏡検査では虫垂開口部がドーム状に隆起したvolcano signを認めた.生検結果は陰性だったが,虫垂粘液嚢胞腫瘍を疑い回盲部切除術および回結腸動脈根部までのリンパ節郭清を行った.摘出標本では虫垂内腔に無色透明なゼリー状の粘液を認めた.病理組織検査上,虫垂尖端部に粘液産生性の腫瘍細胞を認め,粘液嚢胞腺腫と診断された.さらに,虫垂根部には粘膜下を主座とする杯細胞主体の腫瘍を認め,免疫化学染色の結果,杯細胞カルチノイドと診断された.

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© 2015 日本臨床外科学会
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