日本臨床外科学会雑誌
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症例
透析患者に発症した蜂窩織炎性結腸炎の1例
樋渡 勝平森本 芳和水野 均安政 啓吾河野 恵美子山崎 芳郎
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2015 年 76 巻 6 号 p. 1408-1412

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抄録

蜂窩織炎性結腸炎は大腸の急性化膿性感染症であり,報告例は少ない.血液透析患者に発症した蜂窩織炎性結腸炎の1救命例を経験した.症例は69歳,女性.主訴は下痢.現病歴は2014年2月初旬,下痢・嘔吐・腹痛が出現,右下腹部に腹膜刺激症状を呈し,急性腹症と診断した.糖尿病性腎症のため週三回の血液透析,冠動脈バイパス術,動脈閉塞のため右下肢切断術の既往がある.腹部CT検査は,盲腸から上行結腸にかけ,腸管壁の著明な肥厚と壁内ガス像,腸管周囲の脂肪織濃度の上昇を認めた.腸管虚血を疑い緊急開腹術を施行した.盲腸壁は菲薄化し壊死を伴っており,回盲部切除術を施行した.病理組織学的所見は,粘膜下層を中心に高度の膿瘍形成を示し,グラム陽性球菌の細菌塊が散在しており,蜂窩織炎性結腸炎と診断した.術後は創離開,胆管炎,動静脈シャント閉塞など重篤な合併症を併発し,術後管理に難渋したものの,112日目に軽快退院した.

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© 2015 日本臨床外科学会
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