日本臨床外科学会雑誌
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症例
鼠径リンパ節転移を認めた人工肛門部異時性大腸癌の1例
三宅 正和武田 和池田 正孝宮崎 道彦関本 貢嗣中森 正二
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2015 年 76 巻 6 号 p. 1450-1455

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抄録

症例は75歳,男性.人工肛門周囲の硬結と熱発を主訴に近医を受診し,最初は人工肛門周囲膿瘍と診断され治療されていたが,軽快なく当院紹介受診となった.術前検査にて人工肛門癌皮下組織浸潤,左鼠径リンパ節転移の診断にて腫瘍切除,左鼠径リンパ節郭清,人工肛門再造設を施行した.病理組織学的検査では,高分化腺癌で皮下組織への浸潤を認めたが腸管の辺縁動脈周囲のリンパ節は陰性であった.また,左鼠径リンパ節には1個の転移を認めた.人工肛門部癌の発生は稀とされ,さらに鼠径リンパ節へ転移を認めたという報告は非常に少ない.鼠径リンパ節に転移を認めても根治できる可能性があり,外科的切除を行うことが重要である.

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