日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝切除後3年無再発生存中の膵癌肝転移の1例
大道 清彦坂本 裕彦高橋 遍網倉 克己朝山 雅子黒住 昌史田中 洋一
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キーワード: 膵癌, 肝転移, 化学療法
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2015 年 76 巻 6 号 p. 1494-1498

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抄録

症例は68歳,女性.膵体部癌に対し膵体尾部切除術・D2郭清を施行し,半年間,術後補助化学療法(gemcitabine)を行った.術後1年2カ月に肝S6単発の肝転移再発と診断した.S-1投与により,1年1カ月の間,stable diseaseを維持した肝転移巣が,腫瘍径増大による,progressive diseaseとなった.全身状態は良好で,他の化学療法の選択肢がないこと,他の肝転移巣および遠隔転移巣を認めないことから肝S6部分切除術を施行した.肝転移術後3年1カ月(原発巣術後5年5カ月,肝転移診断後4年3カ月)無再発生存中である.切除を治療のオプションに加えることにより,長期生存を得ている膵癌肝転移の1例を報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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