2015 年 76 巻 7 号 p. 1553-1561
目的:当初切除不適格の胆道癌症例に対し,放射線化学療法後,根治術に至った症例を解析する.
対象と方法:2011-2012年に当科で加療した胆道悪性腫瘍49例のうち,救済的根治術を施行した当初切除不適格胆道癌3例について,前治療内容と術式,病理学的奏効程度を後方視的に解析した.
結果:疾患内訳は胆嚢癌2例,肝内胆管癌1例,臨床病期はいずれもIVb(規約第5版)であった.全例にS1+RT(50.4Gy)を施行し,前後してGemcitabine+S1,あるいはGemcitabine+CDDPによる全身化学療法を施行した.手術前治療期間は4-9カ月で,全例が治療効果SD-PRを維持した.病理所見は腫瘍消失/fStage II/IVa=1/1/1例,全例がfCur Aとなった.
結論:高度進行胆道癌に対し,化学・放射線療法を組み合わせることで高い治療効果が得られる可能性が示唆された.