2015 年 76 巻 7 号 p. 1639-1643
患者は61歳,男性.近医より嚥下困難・低酸素血症のため,当院へ救急搬送された.胸部CT検査で気管支および食道を圧排する歪な形態の胸部下行大動脈瘤を認め,感染性大動脈瘤の診断で入院翌日に胸部下行大動脈置換術を施行した.術後2日目の内視鏡検査にて食道に虚血性変化を認めたが,食道造影では造影剤の漏出は認めなかった.術後7日目のCT検査にて縦隔に腸管外ガス像を認め,食道造影でも縦隔への造影剤の漏出を認めたため食道穿孔と診断し,術後8日目に右開胸による食道切除術を施行した.切除した食道は全層性に壁の壊死脱落を認めた.食道切除術後49日目に食道再建術を施行した.食道再建術は胸骨前経路で全胃管を残存食道と吻合した.