抄録
症例は75歳,男性.胸部食道癌に対し,術前化学療法DCF(Docetaxel,CDDP,5-FU)を2コース施行後,右開胸開腹食道亜全摘・胸骨後胃管再建術・3領域リンパ節郭清を施行した.術後1年半に右鎖骨上および下縦隔リンパ節再発を認め,DCFによる治療目的と食思不振に伴う栄養障害の改善目的に入院となった.入院後,経鼻栄養チューブを挿入し経管栄養を開始した.経鼻チューブ留置6日後に39℃を超える発熱と著明な炎症反応の上昇を認めた.CTにて門脈内ガス血症および再建胃管粘膜下気腫像を認め,気腫性胃炎と診断した.治療として抗菌薬投与と共に経鼻チューブを抜去し,中心静脈からの栄養管理に切り替えた.治療開始1週間後には,症状・炎症所見の改善と共に胃管の気腫性変化と門脈内ガス血症が消失した.
われわれの検索した範囲で,本症例は食道癌術後の再建胃管に発生した気腫性胃炎の本邦における初報告であり,早期診断と治療の重要性が示唆された.