日本臨床外科学会雑誌
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症例
癒着性イレウスにより口側腸管に多発小腸憩室を形成したEhlers-Danlos症候群の1例
濵田 隆志藤田 文彦山下 万平虎島 泰洋黒木 保江口 晋
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2015 年 76 巻 7 号 p. 1706-1709

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抄録
Ehlers-Danlos syndrome(以下EDS)は皮膚過伸展,関節過可動性,皮膚と血管の脆弱性を3主徴とする遺伝性結合織疾患である.今回,癒着性イレウスにより多発小腸憩室を形成したEDSの1例を経験したので報告する.症例は50代,男性.開腹術後の癒着性イレウスで入院中,状態悪化し当院紹介.腹部CTで遊離ガスを認め消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.前回の手術創直下に癒着による小腸狭窄あり.狭窄部口側小腸は拡張し多発憩室を認め,そのうち一つは腸間膜に穿通し炎症性に硬化していた.EDSによる組織脆弱性から小腸切除および吻合は不適と判断し,癒着剥離によるイレウス解除術のみ行った.本症例は組織の膨張に対する歯止めの役割をもつIII型コラーゲンの減少が特徴であるEDS IV型と考えられた.そのため,組織脆弱性から閉塞部より口側腸管の内圧上昇によって組織が膨張し,多数憩室を形成したと推測された.
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© 2015 日本臨床外科学会
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