抄録
症例は50歳台,男性.当院受診当日の16時頃から右下腹部痛を認め,急激に増悪したため救急車で当院へ搬送された.来院時理学所見では右下腹部に圧痛・反跳痛を認めた.血液検査所見では白血球20,500/mm3と上昇していたが他に異常値は認めなかった.腹部単純CT検査では虫垂は内部に糞石が充満し,壁に軽度の浮腫が見られたが,7mm大でごく軽度の腫大であった.虫垂炎の初期である可能性は否定できず,また,右下腹部痛が強かったこともあり,同日緊急手術を行った.腹腔鏡下に腹腔内を観察すると盲腸の血色が不良であり,壊死が疑われた.回盲部切除術を行って壊死腸管の切除を行い,機能的端々吻合を行った.切除標本は組織学的にも壊死所見を認めたが,腸間膜の血管を含む血管内に明らかな血栓は認められなかった.盲腸壊死の原因としては動脈硬化性疾患の既往などから,小範囲の壊死性虚血性腸炎の可能性が示唆された.