日本臨床外科学会雑誌
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症例
虫垂炎を契機に発見された虫垂原発sessile serrated adenoma/polypの1例
金本 斐子谷 卓石井 要竹田 利弥八木 雅夫丹羽 秀樹
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2015 年 76 巻 7 号 p. 1727-1732

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抄録

症例は61歳,女性.数日持続する右下腹部痛を主訴に近医受診.虫垂炎の疑いにて保存的治療を受けるも症状改善せず,腹部超音波検査にて回盲部膿瘍を疑われたため当院紹介となった.受診時右下腹部に手拳大・弾性硬な有痛性腫瘤を認め,同部位に限局した腹膜刺激症状を認めた.血液検査にて炎症反応亢進,CTにて回盲部周囲に炎症波及を伴う腫瘤性病変を認めた.虫垂炎による膿瘍形成を疑い緊急手術を施行した.回盲部は一塊の腫瘤を形成し,剥離時に膿と共に粘液の排出を認めたため腫瘍性病変を考え,回盲部切除・D2リンパ節郭清を施行した.摘出標本において回盲部漿膜側に膿瘍を認め,虫垂は膿瘍壁に連続していた.病理組織学的検査で虫垂末端にsessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)が認められた.
虫垂原発SSA/Pは極めて稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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