2015 年 76 巻 7 号 p. 1777-1781
症例は14歳,男児.2歳時に外傷のため脾摘の既往がある.間欠的腹痛と嘔吐のため,当院救急外来を受診した.腹部造影CTでは,腸管壁の造影効果は保たれていたがbeak signを認め,機械的イレウスと診断し,開腹術を施行した.術中,小腸-腸間膜間の索状物により形成された孔に陥入した腫瘤を認め,イレウス解除・腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は病理組織学的検査により脾組織と判明し,splenosis(脾症)により引き起こされたイレウスと診断した.Splenosisは術後相当期間を経て発見されるため,小児においては稀であるが,脾外傷や脾摘の既往がある患者における腹部症状の訴えに対しては,原因として常にsplenosisも鑑別として考えなければならない.