日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
原著
下部消化管待機手術における化学的腸管処置の有用性に関する検討
三原 康紀江川 智久伊藤 康博長島 敦
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 76 巻 8 号 p. 1825-1830

詳細
抄録

目的:下部消化管待機手術における化学的腸管処置(chemical bowel preparation;以下,CBP)によるsurgical site infection(以下,SSI)の予防効果を前向き無作為比較試験により明らかにする.方法:2009年1月から2010年8月までに当科で施行した下部消化管待機手術症例220例を,CBP施行群と非施行群に無作為に割り付けた.CBPは,術前日にKanamycin 3,000mg/日とMetronidazole 750mg/日を経口投与とし,CBPの有無と表層切開創SSI発生との関連を比較検討した.結果:CBP非施行群の表層切開創SSI発生率20.4%に対して,施行群は3.6%であり,CBP施行群において表層切開創SSI発生率の有意な低下がみられた.結論:下部消化管待機手術におけるCBPは表層切開創SSI予防に有用と考えられた.

著者関連情報
© 2015 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top