2015 年 76 巻 8 号 p. 1825-1830
目的:下部消化管待機手術における化学的腸管処置(chemical bowel preparation;以下,CBP)によるsurgical site infection(以下,SSI)の予防効果を前向き無作為比較試験により明らかにする.方法:2009年1月から2010年8月までに当科で施行した下部消化管待機手術症例220例を,CBP施行群と非施行群に無作為に割り付けた.CBPは,術前日にKanamycin 3,000mg/日とMetronidazole 750mg/日を経口投与とし,CBPの有無と表層切開創SSI発生との関連を比較検討した.結果:CBP非施行群の表層切開創SSI発生率20.4%に対して,施行群は3.6%であり,CBP施行群において表層切開創SSI発生率の有意な低下がみられた.結論:下部消化管待機手術におけるCBPは表層切開創SSI予防に有用と考えられた.