2015 年 76 巻 9 号 p. 2111-2115
乳腺紡錘細胞癌は稀な腫瘍であり,ホルモン受容体やHER2の発現が陰性であることが多く,化学療法の成否が予後に関連すると考えられる.今回,化学療法抵抗性であった乳腺原発紡錘細胞癌を1例経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は75歳の女性.右乳房腫瘤を主訴に前医を受診.針生検にて紡錘細胞癌の診断となり,加療目的に当院紹介.胸筋温存乳房切除術およびセンチネルリンパ節生検を施行した.病理結果は,pT3pN0(SLN)pMX(UICC),ER・PgR・HER2はすべて陰性であり,Ki67 39.1%と高値であった.術後療法は,AC療法4コース,DTX療法4コースを施行.術後化学療法終了後1カ月で多発肺転移と診断.Bevacizumab+PTX療法で治療を開始するも1クール目途中にPDとなり,2nd lineでEribulin投与を行い,一時的に胸水減少などの効果を認めるも術後9カ月で死亡となった.