日本臨床外科学会雑誌
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症例
外来化学放射線療法が著効し8年生存中であるStage IVa食道癌の1例
田中 政有福島 亮治
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キーワード: 食道癌, 化学放射線療法, TS-1
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2015 年 76 巻 9 号 p. 2141-2146

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抄録

72歳,女性.腹部と左鎖骨上窩に総数4個のリンパ節転移を認めた高度進行性食道癌.主病変は切除可能であり侵襲性の高い根治術は避け,左鎖骨上窩リンパ節転移(以後104L転移)と上縦隔は術後化学放射線療法(以後CRT)に委ねる方針とした.2006年6月,右開胸開腹食道亜全摘出術,2領域リンパ節郭清を行った.病理所見は4型胸部下部食道癌,pT3,pN2(No3,No9),pStage IVaであった.術後腸瘻自己抜去から再手術となり,CRTが開始できず104L転移の増大も認めた.患者は外来で可能なCRTを強く希望し,LinacX線照射を104Lに50Gy照射し,またTS-1単剤を5年間内服させる姑息的治療を行った結果,104L腫大はほぼ消失し再発,転移もなく8年間のcomplete response(CR)を継続している.

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© 2015 日本臨床外科学会
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