抄録
症例は83歳,男性.1年前に胃粘膜下腫瘍からの出血にて内視鏡的止血処置を施行.ADL全介助などの患者背景から精査は施行せず経過観察となっていたが,食後に腹痛の訴えがあり受診.CT検査にて,十二指腸内腔を占める腫瘤と胃拡張を認め,胃粘膜下腫瘍によるball valve syndrome (以下BVS)を疑い緊急手術を施行した.手術では十二指腸球部に胃腫瘍が嵌頓し,胃が十二指腸へ陥入,また,胆嚢底部が一部壊死しており胆汁が漏出していた.腫瘍を用手的に還納し胃局所切除術および胆嚢摘出術を施行.腫瘍は4cm大の粘膜下腫瘍であり,病理組織学的検査にてCD34とc-kitはいずれも陽性でGISTと診断.胆嚢は一部に壊死による菲薄化を認めたが穿孔部位は特定できず,胆石も認めなかった.BVSに漏出性胆汁性腹膜炎を合併した症例は非常に稀であり,文献的考察を加え報告する.