日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸重積をきたした盲腸リンパ管腫の1例
上村 志臣真木 健裕金古 裕之三栖 賢次郎猪俣 斉近江 亮
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キーワード: リンパ管腫, 腸重積, 大腸
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2015 年 76 巻 9 号 p. 2237-2240

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抄録

症例は73歳,男性.腹痛を主訴に当科受診.右下腹部に圧痛と筋性防御を認めた.腹部超音波検査では,右下腹部にtarget signを認め,腹部造影CTでは,盲腸を先進部とする腸重積を認めたため緊急手術となった.開腹すると盲腸が上行結腸に嵌入しており,腸重積であった.Hutchinson手技により重積を解除したが腸管に血流障害を認め,また盲腸に腫瘍性病変を触知したので,盲腸癌を疑い回盲部切除(D3郭清)を行った.切除標本では盲腸に,円形で境界明瞭な直径約3cmの隆起病変を認め,病理検査でリンパ管腫であった.
リンパ管腫は,幼少期に頭頸部や腋窩に好発する良性腫瘍であり,腹腔内に生じるのは稀である.また,成人の大腸重積で良性腫瘍が原因となることは比較的少なく,リンパ管腫が原因となることは極めて稀である.今回われわれは,腸重積をきたし回盲部切除を施行された盲腸リンパ管腫の1例を経験したので報告する.

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