日本臨床外科学会雑誌
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症例
転移再発に対し集学的治療を行った非機能性悪性褐色細胞腫の1例
榎本 好恭齋藤 研齋藤 礼次郎武田 郁央洞口 正志平山 克
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2015 年 76 巻 9 号 p. 2314-2318

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抄録

54歳,男性.2007年2月,早期胃癌に対し幽門側胃切除術を施行した.半年後に右副腎腫瘍が出現したため,同年10月に摘出術を施行したところ,病理組織学的に悪性褐色細胞腫と診断された.12病日に退院したが,退院後10日目に発語障害が出現し,多発脳転移と診断された.その後,肺転移・坐骨直腸窩転移が出現し,局所治療として外科的切除,放射線治療を行った.全身治療として,シクロホスファミド・ビンクリスチン・ダカルバジンを併用した化学療法を約2年間施行したが,多発脳転移の悪化により2010年10月に永眠した.
悪性褐色細胞腫は,転移巣からの過剰なカテコラミンによる内分泌症状によって予後が決まることが多い.本稿では,非機能性悪性褐色細胞腫と診断され,腫瘍の遠隔転移,特に脳転移が致命的となった極めて稀な症例を経験したので報告する.

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