抄録
症例は32歳,男性.2日前からの右下腹部痛を主訴に当科外来を受診.身体所見では右側腹部から右下腹部に限局する圧痛・反跳痛を認めた.腹部CTで臍直下右側よりの腹腔内に限局性の脂肪織濃度の上昇を認め,外傷の既往や捻転の所見を認めないことから特発性分節性大網梗塞と診断した.入院後,絶食・抗生剤にて保存的加療を行ったが,症状の改善を認めず入院3日目に腹腔鏡下大網切除術を施行した.手術所見では右側大網の一部が暗赤色に変色し浮腫を認め腹壁に癒着していた.術後経過は良好で術後3日目に退院となった.特発性分節性大網梗塞は急性腹症を呈するまれな疾患であり,臨床的に急性虫垂炎との鑑別が問題になることが多い.以前は手術で初めて診断されるケースが多かったが,近年では画像によって術前診断できるようになってきている.今回われわれは,CTで術前診断し腹腔鏡下手術を施行した特発性分節性大網梗塞の1例を経験したので報告する.