日本臨床外科学会雑誌
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症例
ベバシズマブ治療中急速拡大・破裂した腹部大動脈瘤の1例
湯川 貴史井原 努山口 竜三
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2016 年 77 巻 2 号 p. 307-311

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抄録
本稿はベバシズマブ(以下BV)使用下で,増大・破裂をきたした腹部大動脈瘤の治療経験である.70歳の男性,直腸癌再発に対しBV併用化学療法中,腹痛のため救急搬送された.来院時,腹部に拍動性腫瘤を触知した.意識清明,血圧199/116mmHgであった.造影CTでは,6カ月前に最大短径43mm大の腎動脈下腹部大動脈の紡錘瘤が48mm大へ増大し,後腹膜血腫を認めた.破裂性腹部大動脈瘤と診断したが,BVの副作用を考慮し,開腹術でなくステントグラフト内挿術を同日緊急で施行した.術中大動脈造影で血管外漏出は認めなかった.デバイスは緊急でも用意できるGore Excluder®を用い,エンドリークなく終了した.術後2日の造影CTでエンドリークを認めず,術後4日で軽快退院した.経過良く,術後1カ月で化学療法を再開できた.BVが腹部大動脈瘤破裂に関与した可能性があり,かつ,その生理活性の影響を考慮しながら的確な治療を選択した報告は過去になく,極めて貴重な報告である.
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© 2016 日本臨床外科学会
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