日本臨床外科学会雑誌
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症例
直腸癌術後25日目発症のtoxic shock syndromeの1例
瀧 雄介大端 考佐藤 真輔渡邉 昌也新井 一守高木 正和
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キーワード: toxic shock syndrome, 直腸癌, MRSA
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2016 年 77 巻 2 号 p. 393-398

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抄録
術後のtoxic shock syndrome(TSS)の報告は多いが,多くは術後急性期の発症である.今回,直腸癌術後に軽快退院後,術後25日目に発症したTSSを経験したため報告する.症例は62歳の男性.便行頻回で発症した進行直腸癌に対し,直腸切断術,両側側方郭清を施行した.術後経過は良好で術後8病日に軽快退院となった.3日前からの下痢で術後28日目に当院救急外来を受診した.脱水症の診断で入院後,急速に進行した低血圧・末梢循環不全・意識障害を認め,敗血症性ショックとして集学的治療を行うも,播種性血管内凝固症候群・多臓器不全が急速に進行し,入院70時間後に死亡した.病理解剖・細菌検査結果より,骨盤リンパ嚢胞のMRSA感染に伴うTSSと診断された.術後3週間以降に発症したTSSの報告は稀であるが,術後の発疹を伴う敗血症の際には,TSSの可能性もある.
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