日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断が困難であった管外型肛門管癌の1例
三浦 康誠白畑 敦喜島 一博鈴木 哲太郎高坂 佳宏石田 康男
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2016 年 77 巻 2 号 p. 406-410

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抄録
肛門管癌は管内型・外型に分類されるが,一般的に管外型肛門管癌は粘膜面の所見に乏しいため術前診断が困難なことが多い.今回われわれは診断に難渋した管外型発育を呈した肛門管低分化扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は70歳,女性.肛門痛を主訴に当院を受診された.直腸診では肛門縁より3cmに全周性狭窄を認め,可動性不良の硬結を触知し疼痛を伴っていた.下部消化管内視鏡検査では粘膜面の変化は乏しく,狭窄部からの生検組織診断では明らかな異型細胞・腫瘍細胞は認めなかった.経肛門的針生検でも確定診断がつかず,診断・治療の目的で腹会陰式直腸切断術を施行した.切除標本では腫瘍細胞が肛門管の移行上皮部を中心として粘膜下層から管外性に分布していた.病理組織検査では腫瘍内の限られた一部分にのみ乏しい角化部分,細胞間橋を認めた.最終的に低分化扁平上皮癌と診断することができた.
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