日本臨床外科学会雑誌
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症例
水上オートバイ事故による直腸・膣損傷の2例
宮地 洋介伊江 将史村上 隆啓砂川 一哉上田 真福里 吉充
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2016 年 77 巻 2 号 p. 411-417

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抄録

走行中の水上オートバイから転落した場合,船体の推進力であるジェット水流により直腸・膣に特徴的な損傷(以下,本外傷)を生じる.水上オートバイ関連外傷の中で稀な外傷ではあるが,損傷が複雑で治療に難渋し,時に致命的となる.症例1:25歳の女性,走行中の水上オートバイから後方に転落し,会陰部から多量の出血を認め当院へ搬送された.肛門裂傷と腹膜翻転部上に及ぶ直腸損傷を認め,人工肛門造設術を行った.患者は術後12日目に退院したが人工肛門閉鎖には至っていない.症例2:27歳の女性,走行中の水上オートバイから後方に転落し,直腸・膣を複数箇所で損傷し活動性の出血を認めた.直腸損傷に対しては人工肛門造設術にて対応しえたが,膣損傷は円蓋部にまで及んでおり止血が困難であった.一時は重篤な出血性ショックに至ったものの,経カテーテル的動脈塞栓術により止血・救命した.患者は術後35日目に転院となった.

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