日本臨床外科学会雑誌
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症例
被膜様構造を伴った肝血管筋脂肪腫の1例
島 卓史井上 善博朝隈 光弘廣川 文鋭里見 英俊竹下 篤林 道廣内山 和久
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2016 年 77 巻 2 号 p. 418-422

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抄録

症例は66歳,女性.脂肪肝のフォロー中に,腹部超音波検査にて肝S3に高エコー像を呈する腫瘤を認めた.腹部単純CT検査では肝の同部位に最大径55mmの内部不均一な低吸収を呈し,一部に高吸収域を認めた.肝血管筋脂肪腫の可能性も疑われたが,肝細胞癌などの悪性腫瘍を否定できなかったため,腹腔鏡下に肝外側区域切除術を施行した.腫瘍は55mm大の境界明瞭な腫瘤で,病理組織学的には,脂肪組織,紡錘形の細胞および血管の増生を認め,一部に線維性の被膜様構造を有していた.免疫染色ではHMB-45・α-SMAが陽性であり,肝血管筋脂肪腫と診断した.
肝血管筋脂肪腫は比較的まれな腫瘍であり,被膜様構造を有することは非常にまれであるとされる.今回,われわれは被膜様構造を伴った肝血管筋脂肪腫の1例を経験したので報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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