2016 年 77 巻 2 号 p. 430-435
症例は75歳の男性で,黄疸を契機に胆管癌(cT2,N1,M0,cStage IIB)と診断され,減黄後に治療目的に当院を受診した.ADL低下と中等度の認知機能低下を伴っており,認知症とせん妄のどちらが原因かの鑑別が困難であったが,精神腫瘍科にコンサルトし,せん妄に伴う一過性の認知機能低下と診断し治療適応と判断した.また,早期からの多職種介入により,入院中から退院後までの充実したサポート体制を構築し,円滑に診療を進めた.患者背景や全身状態を考慮した上で縮小手術として肝外胆管切除術,リンパ節郭清を施行し,術後2年間無再発で外来通院中である.高齢化に伴い高齢手術患者が増加しているが,せん妄は高齢者で頻度が高く,認知機能低下を伴い認知症との鑑別が困難なことも多い.早期からの多職種の介入により円滑に診療を進めることが重要と考えられた.