日本臨床外科学会雑誌
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症例
出血性胆嚢炎から胆嚢破裂をきたした胆嚢潜在癌の1例
徳永 尚之岩川 和秀野々下 崇稲垣 優岩垣 博巳園部 宏
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2016 年 77 巻 2 号 p. 436-440

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抄録
症例は85歳の男性で,遷延する上腹部痛を主訴に近医を受診し,急性胆嚢炎を疑われ当院紹介となった.2カ月前に脳梗塞を発症し抗凝固薬を内服中であった.腹部CT検査にて,胆嚢内に充満する血腫と頸部前壁での穿孔を疑う所見が得られた.胆嚢炎を契機に胆嚢出血が惹起され,それに伴う内圧の急激な上昇が破裂をきたしたとの判断から緊急手術が施行された.術中には確認できなかったが,切除標本では胆嚢底部に約25mm大の中心陥凹を伴う隆起性病変が指摘され,病理学的に管状腺癌と診断された.また,中心陥凹底直下に壁の破綻した小血管と血管外への血球漏出が確認され,最終的に腫瘍出血による胆嚢内圧上昇が破裂に繋がったと判断した.胆嚢出血の原因は多岐にわたるが胆嚢破裂にまで至る症例の報告はまれである.また,胆嚢腫瘍が出血性胆嚢炎・胆嚢破裂を伴ったとの報告は検索しえた範囲では見当たらなかった.文献的考察を加えて報告する.
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© 2016 日本臨床外科学会
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