日本臨床外科学会雑誌
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症例
急速に進行した乳癌髄膜播種の1例
野元 優貴喜島 祐子新田 吉陽平田 宗嗣吉中 平次夏越 祥次
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キーワード: 乳癌, 髄膜播種
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2016 年 77 巻 4 号 p. 768-772

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抄録

症例は57歳,女性.2011年3月に左乳癌に対して,胸筋温存乳房切除術(Bt + Ax + Ic)を施行した(pT2N3aM0 stage IIIC).術後補助療法として,2011年4月よりエピルビシン+シクロフォスファミド(EC)療法を4クール,同年7月よりパクリタキセル(PTX)療法を4クール施行した.2012年1月に腫瘍マーカーの上昇と多発肝転移を認め,再発1次治療としてEC療法を6クール施行した.投与中,腫瘍マーカーは低下傾向にあり,肝転移巣も縮小傾向にあった.再発一次治療終了直後より食思不振が出現し,近医に入院した.その後,急速にperformance status(PS)が低下し,頭部造影CTを施行したが異常所見は認められなかった.原因検索のため当院に転院となり,第20病日に髄液穿刺および頭部造影MRIにて髄膜播種の診断がついたが,第22病日に永眠された.
急速に進行した乳癌髄膜播種症の症例を経験したので,文献考察を追加し,報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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