抄録
症例は57歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に受診,CTで約3cmの腫瘍と腋窩リンパ節腫大を認めた.針生検で浸潤性乳管癌・ER(+)・PgR(-)・HER2(-)であり,T2N1M0 stage IIBと診断した.術前化学療法(FEC療法×4,paclitaxel療法×9)を施行し,術前のCTの効果判定はPR,遠隔転移も認めなかった.初診から9カ月後に乳房切除術,腋窩リンパ節郭清術を施行した.術後にExemestaneを開始,その3週間後に腹痛を主訴に受診.肝逸脱酵素が上昇し,CTで不均一に造影される肝腫大を認め,薬剤性肝障害が疑われた.入院後に,急激に意識障害・凝固障害が進み集学的治療を施行したが,入院12日目(術後65日目)に永眠された.死後の肝針生検で,大部分が腫瘍細胞に置換されていたため,びまん性肝転移による急性肝不全と診断した.極めて急激な経過を辿った乳癌のびまん性肝転移の1例を経験した.