抄録
症例は70歳台,男性.2010年,横行結腸癌にて右半結腸切除術を施行され,術後補助化学療法が行われた.2012年,左鼠径部腫瘤を自覚し生検で腺癌を認めたため,当科紹介となった.PET-CTではFDG集積は左鼠径部腫瘤のみに認めた.Bmab+mFOLFOX6療法を行い,腫瘍の縮小が得られたため切除術を行った.腹腔鏡下に観察すると,腫瘍は左鼠径管内にあり腫瘍を含めて左精索を切除した.切除標本で精管周囲結合組織内に原発巣と同じ中分化型腺癌を認め,精索転移として矛盾しない所見だった.術後1年半後に左外腸骨リンパ節再発,鼠径部局所再発を認め,再度切除術を行った.現在術後3年経過し,大動脈周囲リンパ節再発を認め化学療法中である.結腸癌の精索転移は,まれな病態であり,また精索転移を腹腔鏡下に切除した例は検索した限りでは認めなかった.転移性精索腫瘍とその手術手技について報告する.