日本臨床外科学会雑誌
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症例
IIIb型膵損傷に両側腎損傷を伴った腹部多発外傷の1例
所 智和中沼 伸一芳炭 哲也岩田 啓子経田 淳桐山 正人
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キーワード: 腹部外傷, 膵損傷, 腎損傷
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2016 年 77 巻 4 号 p. 972-978

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抄録
症例は25歳,男性.漁船で綱と巻き上げ用のローラーに腹部を巻き込まれた.CTでは門脈左縁レベルに膵断裂,肝損傷,右腎静脈根部に造影剤の血管外漏出,左腎に造影不良域を認めた.多発腹部外傷にて緊急手術を行った.手術所見は膵断裂,胃と空腸に断裂,横行結腸とS状結腸に損傷,右後腹膜血腫を認めた.膵体尾部切除術,肝縫合術,胃部分切除術・Roux-en-Y再建術,横行~S状結腸切除術,人工肛門造設術を行った.右後腹膜血腫は増大を認めず止血状態と判断し経過観察とした.術後に無尿となったが左水腎症を認め,腎瘻造設にて排尿が再開した.左尿路造影では尿管損傷を認めた.以後は経過良好にて退院となる.術後約9カ月後に左尿路再建術にて左腎瘻を閉鎖,続いて横行結腸とS状結腸を吻合し人工肛門を閉鎖した.現在,患者は社会復帰している.膵損傷に腎損傷を伴った多発腹部外傷の救命症例を経験したので若干の文献を加えて報告する.
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© 2016 日本臨床外科学会
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