日本臨床外科学会雑誌
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症例
急速な転帰をとった小腸原発malignant solitary fibrous tumorの1例
三浦 泰智新宮 優二赤羽 和久法水 信治坂本 英至
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2016 年 77 巻 5 号 p. 1129-1133

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抄録

症例は70歳,男性.黒色便を主訴に近医を受診し貧血がみられたため当院紹介となった.精査の結果,空腸に3cm大の易出血性腫瘍を認め,出血のコントロールおよび診断のため手術を施行した.摘出標本では,空腸内腔に突出する9.5×4.5×4.0cm大の有茎性腎型腫瘍を認めた.病理組織学的所見では,豊富な毛細血管とともに紡錘形腫瘍細胞が束状に交錯・増殖しており,patternless patternやhemangiopericytoma patternがみられた.免疫組織化学所見ではbcl-2,CD99が陽性となり,solitary fibrous tumor(SFT)と診断した.術後3カ月で上腸間膜動脈神経叢,第5腰椎,左副腎,梨状筋に再発を認め,術後5カ月で多臓器不全のため死亡した.
腸管原発SFTで,本症例のように悪性の転帰をきたした症例は稀である.

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