2016 年 77 巻 5 号 p. 1183-1186
症例は60代,女性.直腸癌術後の右側方リンパ節転移・傍大動脈周囲リンパ節転移に対し,同領域のリンパ節郭清術を施行した.その後に右閉鎖リンパ節領域に術後リンパ嚢胞を形成し,腸閉塞を反復していた.骨盤内癒着によってリンパ嚢胞開窓術は困難と判断し,穿刺ドレナージとOK-432による硬化療法を施行した.硬化療法は奏効し,継時的な排液減少に伴ってリンパ嚢胞は消退した.後腹膜操作を伴う手術ではリンパ嚢胞が問題となることがあり,外科領域では側方リンパ節郭清の普及とともに,硬化療法の需要は高まるものと考えられる.今後もリンパ嚢胞に対する硬化療法として,OK-432の安全性や有効性について検討が必要である.