抄録
中肝静脈根部への浸潤を伴う大腸癌肝転移に対して,パッチ再建を行い,切除しえた2例を経験したので報告する.
症例1は66歳,男性.肝S4の直腸癌同時性肝転移.中肝静脈浸潤を認めたが,術前化学療法による肝障害を考慮し,左葉切除および門脈左枝臍部を用いた中肝静脈パッチ再建を行った.術後7カ月のCTで中肝静脈の開存を確認した.症例2は75歳,男性.直腸癌同時性多発肝転移.術前化学療法後に原発巣を切除し,二期的に肝切除を予定した.肝S2/3を中心とした腫瘍が中肝静脈根部まで浸潤していたが,肝予備能低下を認め,肝拡大外側区域切除,肝S4・S6/7・S8部分切除,臍静脈を用いた中肝静脈パッチ再建術を行った.術後8カ月のCTで中肝静脈の血流を確認した.
肝静脈根部に発生した大腸癌肝転移の肝切除における肝静脈再建は,根治性を保ちつつ,残肝うっ血容積の減少による有効残肝容積の確保に有用な方法である.