日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃十二指腸動脈と右肝動脈の分岐破格を伴った遠位胆管癌の2例
宋 智亨森本 芳和水野 均平尾 隆文山崎 芳郎
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2016 年 77 巻 5 号 p. 1217-1222

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抄録

胃十二指腸動脈より分枝する特異な右肝動脈分岐破格(aberrant right hepatic artery;ARHA)を伴った遠位胆管癌2例に対し,膵頭十二指腸切除術を施行した.症例1は66歳,男性.主訴は背部痛で,肝・胆道系機能の異常と胆管下部に腫瘤像を認めた.症例2は62歳,男性.主訴は心窩部痛で,閉塞性黄疸を認めた.2症例のCT検査は,胆管下部の腫瘍病変を描出し,3D血管構築画像により,共にARHAが胃十二指腸動脈より分岐する特異な走行変位を示した.遠位胆管癌2例に膵頭十二指腸切除術を施行し,ARHAは共に温存した.病期進行度は各々stage IAとstage IBで,R0切除であった.術後に胃停滞ならびに膵液瘻を認めたものの軽快退院し,それぞれ29,13カ月が経過し無再発生存中である.ARHA温存のためには慎重な術中操作と術前診断が肝要である.

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