抄録
症例は87歳の男性で,仙骨部人工肛門から脱出した腸が戻らないとのことで救急搬送された.人工肛門は自然肛門と尾骨の間に造設されており,自然肛門は瘢痕化していた.脱出した腸管には,直腸脱様の部分に加え腸間膜と結腸紐も観察された.CT所見も合わせると脱出腸管が穿孔し,そこからさらにS状結腸が露出していると診断したため,緊急手術を施行した.開腹下に骨盤底の近くでS状結腸を切離した後,仙骨側から切除側腸管を摘出した.仙骨部人工肛門切除部は縫合閉鎖し,左下腹部に下行結腸単孔式人工肛門を造設し手術を終了した.仙骨部人工肛門造設の経緯は,肛門出血に対する緊急手術の末に施行されたとのことであった.仙骨部人工肛門は直腸癌に対する背側切除に伴う造設法として明治後期~昭和初期に報告が認められる.本症例は仙骨部人工肛門にさらに脱出腸管穿孔を伴った貴重な症例であった.