日本臨床外科学会雑誌
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症例
Ball valve症候群により胃穿孔をきたした0-I型胃癌の1例
松崎 博行池田 清信
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2016 年 77 巻 7 号 p. 1656-1659

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抄録

症例は84歳,女性.急に増悪した上腹部痛を主訴に来院.消化管穿孔の診断で緊急手術を行った.胃十二指腸重積を呈しており,胃穿孔を認めた.胃切開を行い観察すると,穹窿部に根部を有するI型ポリープを認め,そのポリープによりball valve syndrome(BVS)を呈していた.茎の根部で穿孔していた.穿孔部を含めてポリープ切除を行った.術後経過は良好であった.切除標本の病理組織学的検査の結果は0-I型早期胃癌であった.
穹窿部から胃体上部に発生した腫瘍がBVSを呈することは稀である.加えて,BVSより胃十二指腸重積をきたし,さらに胃穿孔を認める症例は,さらに稀と考える.BVSにより胃十二指腸重積から胃穿孔をきたした0-I型早期胃癌の1例を経験したので報告した.

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© 2016 日本臨床外科学会
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