抄録
症例は66歳の男性.体重減少を主訴に受診され,精査の結果,同時性肝転移(S3,単発)を伴う十二指腸乳頭部癌と診断された.原発巣および肝転移巣が切除可能であること,また肝転移の他に転移巣がないことより,外科切除を念頭に入れた術前化学療法を施行する方針とした.化学療法を5クール施行後,効果判定はPRであり,またPET検査で他の転移巣の出現を認めなかった.以上より,肝転移を伴う十二指腸乳頭部癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除術および肝外側区域切除術を施行した.病理組織学検査では,十二指腸乳頭部の原発巣はtub1 in ampulla of Vater,pT2,pN1であり,肝転移巣にはviableな癌細胞は認めなかった.術後合併症としてGradeBの膵液瘻を認めたが,保存的に軽快し,術後44日目に軽快退院となった.退院後は術後補助療法を継続し,術後8カ月現在,無再発経過中である.